◎松本は3月下旬~4月上旬に雪が降る。
3月上旬、「いよいよ長い冬が終わり、春の足音が聞こえ始めたなー」と第2ペンギンは浮かれていた。
頭からほわほわと湯気みたいなものを出しながら、ゆるみにゆるんだ顔をにやにやさせながら、裏山の御殿山や大音寺山なんかを散歩し始めていたのである。
「今年の畑には何を植えようかしら?」
そんなことも考え始めていた。
でも、だいたい松本は3月下旬から4月の下旬に雪が降る。
なんなら桜が満開の時に降る年もある。
だけれど、何年も住んでいるのに第2ペンギンは学ばないので、そんなことすっかり忘れて春を謳歌し始めていたのである。
そんな矢先の3月18日朝。
第2ペンギンはやたら外が静かだな・・・と思ってカーテンを開けると、目の前に雪景色が広がっていて驚愕した。
「は、は、は、春の雪じゃー!!」
第2ペンギンは思わず叫んだ。
春の雪を見るといつも同名の小説「春の雪 豊饒の海(一)」(三島由紀夫)を思い出す。
思い出すけれど何のことはない。
この雪も昼頃までにはすっかりとけるだろうと第2ペンギンは思った。
今年最後の雪景色(と思われる)。