◎山椒が豊作!
長野県は松本市。浅間温泉の温泉街の一角に第2ペンギン荘なるシェアハウスを作るときに、第2ペンギンは「食べられる樹ばかりを植えてやろう…」なんてひそかに考えていた。
食い意地が張っているのである。
浅ましい。さもしい。みじめだ。
・・・ってことは全然ないのだが、第2ペンギンはそんなペンギンなのである。
そんなわけで2020年、第2ペンギンは下宿の庭の一画に山椒の樹を植えたのである。
2021年はうまく根付いて見守る年。
2022年も見守る・・・と思ったら2年目で実が生り始めた!
山椒は苗を植えてから4~5年は実が生らないと言われていたのに生っちゃったのである。
第2ペンギンは歓喜した。歓喜して裏山の御殿山の山道を駆け回った!!・・・と言うのはウソだけれど、うれしかったのは本当である。
そして2023年は安定してたくさんの実が生ったのである。
第2ペンギンは醤油漬けを作ろうと思った。保存が効くし、麻婆豆腐好きにとっては重宝しそうである。
そんなわけで採ってきた山椒を選別。
一塊になっている山椒の実を一つ一つ小枝を取っていく作業である。
部屋中に山椒の爽やかな、そしてスパイシーな香りが充満した。
第2ペンギンはまるで猫にマタタビの匂いを嗅がせたような感じに「ふわっ!ふわ~~~!うにゃーーー!」と恍惚とした感覚になりつつ小枝取りに勤しんだのである。
小枝を取ればあとは簡単。
鍋で5~10分ほど火を通して、瓶に入れ、醤油を入れるだけである。
10日ほどで食べられるようになる。漬けた醤油もスパイシーになるので、豆腐にかけたり、麻婆豆腐に入れたり、スパイシーな風味で仕上げたいときに重宝する。
半年くらいは持つらしい。
第2ペンギンは10何年前、上越の友人の家で食べた山椒の醤油漬けがおいしくていつか自分でも作ってみたいと思っていたのである。
しかも自分で育てた山椒の実で。
買うのは邪道であると思っていた。
それもついに叶うことができたのである。
第2ペンギンは満足げに山椒が入った小瓶を見てほくそ笑んだ。